走塁

機動力野球とは盗塁を数多くしかけることではない。走者とバッテリーの駆け引きとは。

投稿日:2019年2月15日 更新日:

「頭で走る走塁論」赤星憲広著

頭で走る盗塁論 駆け引きという名の心理戦 (朝日新書)

またどうしてもここは走りたい、走らないといけないというときに、究極のリードを編み出した。これは私の企業秘密的なリードの取りかたなのだが、もう走ることもないので公表したい。
 どうしたかというと、目の錯覚を利用するのだ。ある試合で出塁した時に遠近法を使って投手の目を欺いたことがある。走者は基本的に一塁と二塁を結ぶ直線の上に沿ってリードをする。セットポジションに入った投手は一塁手と走者の距離を見て、走者がどのくらいリードを取っているかを計算する。それを逆手に取るのだ。
 一塁に出る。投手は私の盗塁を警戒してセットポジションで構える。私はいつものように塁を離れ、リードをしていく。一歩ずつ身長にリードして、投手の牽制球に神経を尖らせながら、少しでも二塁に近づこうと一塁ベースから離れていく。しかしあまり離れると牽制アウトになる可能性もあるしスタートを切れない。
 そのときに、まずは斜め後ろにリードして、遠くに見せておく。そこから横にリードせずに徐々に斜め前にでてくる。すると二塁に近づいていっているとはいえ、投手からは一塁手と走者の距離が変わっていないように見えていて、リードを取っているようには感じない。
投手は走者がリードしているかどうかを見るのに足元までは見ない。野手と走者の距離でどのくらいリードをしているかを測っているので、私が足を前に進めているのか横に進めているのかまではわからない。
 投手には、近寄っていくのだが、実はリードの大きさは半歩ずつ広くなっている。投手の錯覚を利用して、リードを少しずつ広げていくのだ。
 私の盗塁を警戒して投手がまずけん制球を1球投げてくる。そしてこの後にこのリードを取ると、投手は「牽制前とあまりリードが変わっていないので(そう見える)、盗塁はしてこないだろう」と判断する。

書籍本文より

この書籍で学べる最大のネタバレをしてしまいました。もうこの本を買う必要がなくなりましたね…(まだまだ細かいネタはいっぱい書いてありますが)

この特殊なリードの方法の説明は、引用にあることが全てです。

まずは、全員が投手役になってこのリードの効果を感じてみてはどうでしょうか。本当に目の錯覚でリードの大きさがわかり辛くなっていることが実感できると思います。

そして、このような観点で走塁をしていないチームにとっては抜群な効果を発揮します。

しかしながら、私自身は盗塁成功にこのリードを重要視していません。

そもそも「成功するタイミングでしか走らない」ので、無理に盗塁をする必要がないからです。このリードを使わなくても、盗塁ができる場面は山ほどあります。

それではこのリードはどういう場面で使えばいいのでしょうか。

機動力=盗塁

ではありません。

盗塁しない場面でこのリードをどう使うのか。そしてそれをどう攻撃に生かすのか。

これがわかってくると、機動力が使えるチームになってくるのではないでしょうか。

頭で走る盗塁論 駆け引きという名の心理戦 (朝日新書)

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