メンタルトレーニング

スポーツメンタルトレーニングの実践2 ~目標設定について~

投稿日:2019年2月26日 更新日:


新版 今すぐ使える メンタルトレーニング 《選手用》

1つめの心理的スキルである目標設定について解説していきたいと思います。

これはメンタルトレーニングに限らず、ビジネスの世界でも重視されているので、様々な目標設定の方法を学ぶことができます。

この部分は、スポーツメンタルトレーニングで紹介される手法に沿っていなくても、やりやすい方法でやっていけばいいと思います。

私は目標設定の方法には原田隆史氏の考えを取り入れていますので、それをベースに簡単に以下から解説をしていきます。

目標設定とは何か。

目標設定とは、メンタルトレーニングにおいて「やる気、モチベーション」を高めるために行う心理的スキルです。ただ単に練習するのと、「こうなりたい!」という明確な目標を持って練習するのには大きな効果の差が生まれます。ただ単に練習を頑張るだけでは上達しません。

明確な目標を設定しない人は、「練習を頑張る」こと自体が目標になってしまい、結果が出ません。明確な目標を設定した上で、その目標を達成するために必要な「練習を頑張る」ことで、その努力に応じた結果が出るのです。しかし、ただ単に目標を設定するだけでは効果は薄くなります。

以下に目標の立て方を簡単に紹介していきます。

1.目標達成の期日を決める

まず大事なのが、目標達成の期日を定めることです。「この日に~できるようになる」という明確な期日を設定することで、その目標達成のためのプロセスが見えてきます。具体的には、「春の大会」「夏の大会」「秋の大会」を期日にしたり、秋の大会が終了してオフシーズンに入る前に、シーズンインを迎えるまでを期日に目標を設定します。

2.具体的な目標を立てる

では、どのようにし目標を設定したらいいのでしょうか。具体的には…

  • 最高の目標
  • 中間の目標
  • 今回の目標
  • 絶対達成できる目標

という4つの目標を設定します。設定する順番ですが…

① 最高の目標

…(自分がイメージできる範囲で)「こんなんになれたらいいな」というような目標

② 絶対達成できる目標

…自分の経験から、「これだけは絶対できる」「これできなければやばい」という必ず達成できる目標

③ 中間の目標

…①と②の中間にあたる目標。

④今回の目標

…上記①②③の目標を目安に、今回の目標を定める。

目標設定の注意点

目標を設定する上で、注意しないといけない点が6つあります。

①夢と目標の違い。

 目標というのは夢と違い、それを自分自身が鮮明にイメージできなければいけません。「最高の目標は甲子園」としたとして、現段階のあなたに、甲子園のバッターボックス・マウンドに立っている自分が本当にイメージできますか?どうやったら甲子園に行けるかわかりますか?それがわからなければそれは「夢」ということになり、「目標」ではないのです。しかし、努力することで「夢」を「目標」に変えることは可能です。

②目標は他人と比べない。

 「目標」というものは、自分にとって本当に価値のあるものでなければなりません。他人と競争して、自分の能力以上の目標を設定しないように注意してください。例え他人から笑われたとしても、「本当に自分にとって価値のある目標」を恥ずかしがらずに設定してください。

③客観的で測定可能な目標を立てる。

 例えば「一生懸命頑張る」「死ぬほど頑張る」「めちゃくちゃ頑張る」というような感情面の目標はダメ。誰が見ても達成できているかどうかわかるような目標を立てなければいけません。

④比較できるように目標の単位を揃える。

例えば、最高の目標が「レギュラーになる」であるのに、今回の目標が「体重を5キロupさせる」ではいけません。全ての目標の単位を揃える必要があります。やりたいことが多い場合は、それぞれ個別に目標を設定してください。

⑤目標を下方修正しない。(上方修正はOK)

 目標を定め、努力をしていく中で「あかん、できひん」といって目標のレベルを下げてはいけません。この「目標を下方修正しない」ということは、目標設定で一番大切なことです。「レギュラー」を目指していたのに、途中で「ベンチ入りでいいや」となってしまっては、そもそも目標設定をする意味がありません。目標を下方修正しない為にも、妥当な目標を最初から立てる必要があります。目安としては自分の今の力の2割り増しくらいまでの範囲と思っておいてください。その為にも自己分析をしっかりする必要があります。

⑥あまりにも低い目標を設定しない。

自分の今の能力に対してあまりにも低い目標を設定してしまうと、目標を達成しようとする意欲を失ってしまいます。同じ「試合でヒットを打つ」という目標でも、試合でヒットを打ったことのない選手とレギュラー選手では目標達成の難易度が全然違います。前者は「ヒットを打つ」事は挑戦になりますが、後者はそれを目標にして努力をしなくてもヒットは打てるでしょう。これでは目標を設定する意味が薄れてしまいます。自分に合ったチャレンジ目標を設定しなければいけません。

目標の幅、ゾーンとは。

「最高の目標」と「絶対達成できる目標」の幅を「ゾーン(心の幅)」と言います。人間は真にイメージ出来ない事は達成できません。自分のイメージを超えることはできないのです。ですので、目標達成はこの範囲内でしかありえません。注意①でも説明しましたが、大きな「夢」を努力によって「目標」に変えることができれば、あなたの可能性は大きく広がります。

成功の鍵は「成功する」と決めること。

 「成功したい」と考えて練習するのと、「成功する」と決めて練習するのでは、意識の上でも大きな差が出てきます。しかし「成功する」と決めるには、それだけに大きな「覚悟」が必要になります。「成功する」と決めた以上は、どんな困難があっても自分に負けずにそれを乗り越えなければなりません。

敵は他人ではなく、自分自身です。今すぐ「成功する」と覚悟を決めて、練習しましょう!

※目標設定の例

☆良い例☆

最高の目標:○○大会で背番号5番をもらってサードでレギュラーとなり、4番を打つ。

中間の目標:○○大会で背番号5番をもらってサードでレギュラーになる。

絶対達成できる目標:○○大会でベンチ入りする。

今回の目標:○○大会で背番号5番をもらってサードでレギュラーになる。

☆悪い例☆

最高の目標: ○○大会で背番号5番をもらってサードでレギュラーとなり、4番を打つ。

中間の目標: ○○大会で背番号5番をもらってサードでレギュラーになる。

絶対達成できる目標: 練習試合でヒットを打つ。※1

今回の目標: 毎日の練習を全力で頑張る。※2

※1 最高の目標が「○○大会」について書かれているのに、「練習試合」について書かれているので×。

※2 ※1の内容に加えて、「全力で頑張る」という感情面を目標にしているので×。

目標によって得られる利益を考える

 あなたが今回設定した成績目標を達成した時、あなたにどんないい事がありますか?やはり目標達成の為に努力する時のエネルギーはここからくるのではないでしょうか。ここにワクワクする、想像しただけでもドキドキするような事がイメージして書くことができれば、それはあなたの大きなエネルギーになります。

 ここには「正解」「不正解」はありません。どんな事を書いてもかまいません。「みんなからチヤホヤされる」「彼女(彼氏)ができる」のような事でもかまいません。多く書き出せれば、それだけあなたの目標達成へのエネルギーが大きくなっていきます。できる限りイメージを膨らませ、多く書き出してみましょう。

自己分析をする

 目標を設定した後は、普通はその目標を達成するための具体的な方法を考えていきます。ただ、その前に1つやっておかないといけないことがあります。それは、「過去の自分の成功経験・失敗経験の分析」つまり「自己分析」を行うということです。ほとんどの人は、いつも同じ失敗を繰り返します。それを分析していないと、今回せっかくいい目標を立てたのに、それを達成することができなくなってしまいます。

今までの経験で、何か目標を達成した時、調子がよかった時などの成功した時と、失敗した時、調子が悪かった時の自分の「心」「技」「体」「生活」面を分析します。下の例ではあまり詳しく書いてありませんが、実際はもっと細かく、思いつくものを全て書き出してください。

色々と書きましたが、なんでもOKです。

明確な目標を立てることから始めてください。


今すぐ使えるメンタルトレーニング―コーチ用


大リーグのメンタルトレーニング

-メンタルトレーニング

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


関連記事

メンタルトレーニングとは何かがこの9つの記事でわかる!基本から応用、実際やってみた感想までを解説。

8回にわたってスポーツメンタルトレーニングの記事を作ってきました。 私自身、スポーツメンタルトレーニング指導士の方に指導を受け、メンタルトレーニングを学び、自分の指導に生かしました。 今回はメンタルト …

野球選手なら読んでおきたい、スポーツ心理学をベースとしたメンタルトレーニングの教科書。

【大リーグのメンタルトレーニング】  大リーグのメンタルトレーニング メンタルトレーニングという言葉は最近はずいぶん普及してきました。 皆さんも様々な形で指導をされているように思います。 私も10年以 …

スポーツメンタルトレーニングの実践7 ~ポジティブシンキングの方法~

大リーグのメンタルトレーニング(Amazon) 大リーグのメンタルトレーニング (楽天) ポジティブシンキングとは何か  ポジティブシンキング(プラス思考)とは、考え方をポジティブ(プラス方向)へし …

スポーツメンタルトレーニングの実践6 ~イメージトレーニングの方法~

大リーグのメンタルトレーニング(Amazon) 大リーグのメンタルトレーニング (楽天) イメージの重要性 「イチローのバッティングフォームをイメージしてください。」 と言われれば誰でも簡単にイメージ …

スポーツメンタルトレーニングの実践4 ~リラクゼーションの方法~

リラクゼーションとは何か 新版 今すぐ使える メンタルトレーニング 《選手用》 書籍などでは以下のように述べられています。  セルフコントロールをするためのトレーニングであり、緊張した場面での気持ちの …