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【履正社高校の打撃はフライボール革命?】長打を打つために必要なことは?

投稿日:2019年8月16日 更新日:

甲子園を見ていると、打球が本当に飛びます。ホームランにならない打球であっても、広い甲子園球場のフェンス付近まで打球が飛んでいますし、外野手の守備位置も本当に深い。


新時代の野球データ論 フライボール革命のメカニズム

最近は、様々な書籍やインターネットの情報があり、フライボール革命を取り入れる学校が増えてきたように思います。高校野球でもそうですが、私の感覚としては「中学軟式」のチームが導入しているように思ったりします。

甲子園には程遠い、普通の高校球児を指導する立場の私が、フライボールについての私見を述べていきたいと思います。

結論:トーナメントの高校野球ではフライボール革命導入は有害と考える

誰もがホームランを打てるように」

という、聞こえのいいコメントをよく見ます。長打を打つことが打撃の喜びである、というような感じで、単打を狙わせるような打撃指導を否定するような流れがあったりします。フライボール革命のような感じでカチあげて打球を飛ばす、ということが、本当に勝利につながるのでしょうか。

私は長打を狙って打つことに対しては否定的ではありません。2ベース以上の長打は試合展開に大きな影響を与えます。しかしながら、野球の試合においてそういう長打を狙えるケースというのはどれくらいあるのでしょうか?

私が見ていて疑問に思うのは、2死2塁や走者3塁というような長打が必要のないケースにおいても、長打を狙うようなスイングをしている打者が多いということ。そういうケースは単打狙でいかないといけませんね。

そもそも、長打になるケースとは

ホームランを除き、長打になるケースを考えてみましょう。私は以下の3つを考えます。

① 外野手の頭を超す

② 右中間や左中間を抜く

③ 一塁線や三塁線を抜く

イメージしやすいのは①ですね。フライボールを進める考え方はこういう打球をイメージしていることが多いです。

しかしながら、力のない打者がこの①を目指すと悲惨なことになってしまいます。それは…

  • そもそも力がないので打球が飛ばない
  • ある程度打球が飛んだとしても、外野手に深く守られたら捕られる
  • 飛ばそうとしてスイングが荒くなって打率が落ちる

こんな感じでしょうか。ある程度打てる打者でも、打球を上げてしまうと外野手に取られてしまいます。私は外野出身ですし、外野手のポジショニングにはうるさいほうなので、ケースによってはフェンス付近の打球まで捕れるようにポジショニングをさせていますので、打球を上げてくるようなチームはフライアウトが多くなります。

また、打球を上げてしまうと②のケースで打球がグラウンドに落ちてから転がらず、結果として長打にならないケースもあるでしょう。これが低い強い打球であるならば、フェンスまで打球が到達して3ベースやランニングホームランにつながる可能性が増えます。

本当に打球を飛ばせる打者であるならば、ケースやカウントに応じて①を狙っても全然OKという立場ですが、基本的には②を狙う打撃を指導しています。

低く強い打球を打つことは単打狙いではない

ある程度のレベルになると、ゴロを打っても相手はミスをしませんので、あえてゴロを打たせるようなことはしません。当然、ケースによってはゴロで内野を抜いていくようなバッティングを求めることもありますが、基本的には上記の②で長打狙いです。

その結果、ゴロになったとしても打球が強いので、グラブを弾くような打球になったりするので、最初からゴロを打ちにいくような打球とは質が全然違います。

実際の甲子園でのバッティングは?

甲子園をテレビで見ていますが、フライボール革命のような感じでスイングをしているような打者は存在していないのではないでしょうか?基本的には低い打球を打とうとしていますし、それが結果として長打やホームランにつながっています。

こういうスイングが、国際大会で勝てないことにつながったり、プロなどで大成するような長距離打者の育成ができないというような批判もありますが、我々高校野球の選手と指導者は基本的に高校野球で勝つために指導をしています。プロ養成機関ではないのです。

投手のレベルが低い相手であれば、フライボールも通用すると思います。私が指導する高校にも中学の時にフライボールで成果を残していたものの、高校野球の投手には通用しなくなってしまうような打者が多くいます。甲子園の投手はみんな抜群なので、①を狙うスイングでは対処できないのでしょう。

プロ野球のスイングは

プロ野球は、本当にフライアウトが多いですよね。誰もが①の長打やホームランを狙っていますし、それができる能力を持った選手の戦いなので、ホームランの打ち損じがヒット、というような考え方でいいのでしょう。

ファンからもそういう打撃が求められているでしょうし、それはそれでいいのです。野球がそういう方向なのですから。

これを高校野球に当てはめるべきではないと私は思います。

まとめ

私はフライボールを完全否定するわけではありませんが、積極的に採用しようとも思いません。そういう打撃を身につけさせる時期もありますし、そのまま打たせる打者もいますが、多くのケースでは打撃に制限をかけています(②のスイング)

勝利には長打が必要ですが、必要な時に必要な打者が打てればいいのです。野球はチームスポーツであり、個人個人にできることが違い、それがその選手の個性となってチームの勝利に必要なポイントになります。

私はホームランが全てとは思いません。1本くらい打ってもらいたいですが、それよりもチームの勝利を考えれる選手を育成します。自分のポテンヒットが勝利に結びついて感動の涙を流してもいいではないでしょうか。

野球塾など、個人を指導する方は打撃に①を求めるケースが多く、チームの指導者ほどその考えを否定する傾向があります。

野球塾で

  • ヒットの打ち方を教えます
  • ホームランの打ち方を教えます

というメニューがあったら、みんな後者を選びますよね。しかしながらチームの指導者は前者を好む傾向があります。

自分には、またチームには何が必要で何が求められているのか、そういうことを判断しながら考えていく必要があるのではないでしょうか。

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