打撃

知らないとマズイ。絶対に知っておきたいバッティングの基本。

投稿日:2019年2月12日 更新日:

バッティングの極意 手塚一志著

バッティングの極意―うねり打法

かなり手塚一志シリーズが続いていますが、この本も本当に大事なことを教えてくれます。

しかしながら、この本には私見ですが重大な欠陥もあるように思います。

基本的には「バッティングの正体」「シンクロ打法」の両書を読んでいればこの本を読まなくてもいいように思いますが、私はこの本に書いてある

【イナーシャルギャップ】

という考え方を知ってから、自分の指導方法が大きく変わりました。

明らかにアッパースイングでホームランを打った打者がインタビューで

「しっかり上からたたけました」

「ヘッドが立って打てました」

などというコメントを言っているのを聞く度に「

いいかげんなことをいうな!」

と怒っていました。どう考えても「上から」「ヘッドが立つ」というスイングには見えないのです。

しかし、「本人はそういう感覚でバットを振っていた」のです。

上記の図のように、私たちが見るスイングの軌道(B)は、本人が(A)の軌道をイメージすることで達成されています。このことを手塚氏は「イナーシャルギャップ」と呼んでいます。

スイングが速くなれば速くなるほど、このギャップは大きくなり、スイングが遅くなればなるほど、ギャップが小さくなります。

なので、「上からたたけ」という指示を与えた場合、スイングスピードの速い選手にとっては「いいスイング軌道」になり、逆にスイングスピードの遅い選手は「大根切り」のようなスイングになってしまうので、注意が必要です。

例えば、どうしてもスイングでヘッドが落ちてアッパー気味に振ってしまう選手がいたとします。こうなるには原因がありますので、その原因に直接アプローチしてスイングを改善することが重要であると思っていました(このような考え方を学べる書籍は後程レビューします)。

しかしながら、その指導でも上手くいかない部員は多くいます。

レベルスイングを一生懸命イメージしてスイングをしているにもかかわらず、ヘッドが落ちてしまうのです。

このような選手は「イナーシャルギャップ」の考え方を使って「もうちょっと肩口から振りだすイメージで振ってみたら?」という指導の方がしっくりくることが多かったです。

この指導はスイングの欠陥の原因に直接アプローチしていないので、これだけでは完全には改善しないのかもしれませんが、「選手の主観」と「指導者が見る客観」の両方の視点から指導をするという目から鱗の学びでした。

プロ野球選手の素振りなどを見ていると、実際のスイングには見られないような極端なスイングを繰り返している姿を見ることがよくあります。

また「肩を開かないように」「腰を止めて」「手からスイング」など、実際のスイングではしていないような発言もよく聞かれますが、そのような「選手がどのようにスイングをしようとしているのか」という「主観」の部分を見るようにして、その感覚が理解できるようになれば、「こうやってみたら?」というスイング指導の引き出しが大きく増えるのではないでしょうか。

私が現役時代にこの書籍が発売されましたが、この書籍を読んで打撃を崩していった仲間が本当に多くいました。何なら良くなった選手がいないのではないかというくらいです。

それが、この本の主題である「うねり」であると断言します。

「バッティングは下半身から」とよく言いますが、私は「客観」としてはそれは正しいが「主観」として下半身からいくと多くの選手の打撃は崩れると考えています。

詳細な技術論の展開は避けますが、下半身からいってしまうと、多くの選手は外のボールにバットが届かなくなります。

そして、アマチュア野球の配球はほぼアウトコースばかりです。

中途半端な理解でうねりを取り入れてしまうと、外スラにかすりもせずに三振の山を築いてしまいかねません。

ある甲子園常連校の監督さんも

「140キロを超えてくる球を下半身から動かしていては間に合わない。バッティングは手からだよ」

とおっしゃっていました。

そのチームの打者も、私が指導する打者も「下半身は回すのではなく回る」という感覚で指導していますが、動画で見てみると、しっかりと下半身から動いて打っています。

これが「主観」と「客観」、そして「イナーシャルギャップ」を使った指導方法であると考えています。

またこの技術論については、別の記事で解説したいと思います。

バッティングの極意―うねり打法

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